千夏が入ったのは、CDショップだった。

CDが売れないこの頃でも、千夏はダウンロードがキライらしい。

「だって、携帯変えたら聴けなくなるじゃん」

そう言ってたのを覚えている。

ショップに入ると、千夏は視聴コーナーに一直線。

渚はアニメソングコーナーへ。

「私はクラシックを見てきます」
美鈴はそう言って歩いてゆく。

あたしはぼんやりそれを見送ると、J-POPコーナーへ。

特に好きな歌手がいるわけじゃないけど、新譜をひとつずつ目で追ってゆく。

あたしには不安がある。

それはお金のこと。

ここでの支払いも、ひょっとしたらあたしがさせられるのかも。


昨日からそればかり考えていた。