機体の枠をつかもうと手を伸ばした紗栄子。

その体がまたなにかに押されたかのように後ろに転んだ。


ドンッ


「え、なに? 今の」

萌絵が驚いたような声を出した。


キィ…


風もないのに扉がゆれたかと思うと、音をたてて閉まった。


ガシャン


すぐにロックがかかる音。

立ち上がった紗栄子が扉を開けようとするが、金属音がするだけで扉は開かない。

「マジ? もう1周するとかありえないし」

よく見ていなかったのか、七海が言うが誰も返事をしない。

紗栄子は扉を叩いているが、どんどん機体は上がってゆく。