観覧車はいつのまにか最上部に来ていた。

でも誰も景色を見ることもなく、お互いの顔を見つめている。

沈黙を破ったのは駿だった。

「それはおかしいだろ」

「どうしてですか?」

「だって引っ張った相手がいるなら、そいつは宙に浮いて陽菜を引っ張ったってことになるだろ。あのブランコは回っていたわけだし、そんなの理屈としておかしいじゃん」

少しおどけたようにして言う駿に、私も大きくうなずいてみせた。


目が合う。


そして、彼は私を見て一瞬目じりを下げた。

私が同意したのが伝わったのだ。



胸が熱くなった。