このまま、話もしないまま卒業の日をむかえて後悔するんだ。

そんなふうに、あきらめていた。

それが、駿のほうから話しかけてくれるなんて。

上気した顔で、それでもつい駿を見てしまう。


観覧車はどんどん高度を上げてゆく。

先を行く七海たちの機体が時折見えるが、中の様子はわからなかった。

さっきと同じで、やはり上空まで来てもあまり町の明かりは多くないこの町。

どこか地味な景色だ。

屋上の景色にやっぱりどこか似ている。


それでも…。


好きな人がそばにいるだけで、こんなにうれしい。

心があったかくなるってこういうことなんだ。

このままずっと、ここにいたい。


観覧車が永遠に回りつづければいいのに。