観覧車に一緒に乗ってるなんて、ほんと奇跡としか言いようがない。


___隣に紗栄子さえいなければな


そんなことを思い、あわててその考えを打ち消した。

いるからこそ一緒に乗ってくれてるのだ。

ヘンな期待をしてはだめ。

自分に言い聞かす。


駿をはじめて好きになったのは、1年で同じクラスになってすぐ。

はじめは、「やさしそうな人だな」と思ったのを覚えている。

小学校からの友達らしい雅哉といつも一緒で、女子に興味なんてないように見えた。

授業中の眠そうな横顔。

雅哉とはしゃぐ姿。

教室の中に彼がいると安心したし、いつ見てもおだやかな表情は胸を高鳴らせた。

話しかけたいけれど、叶わないままもう2年生の夏になっていた。