「血…」

そうだ。

本当に落ちたとしたら血痕があってもおかしくないはず。

でも、どこにも見えない。

暗いからかも、と目をこらして歩くが、そんな形跡はどこにもなかった。

紗栄子が上を見上げた。

つられて私も見る。

「引っかかってるのでしょうか?」

「え?」

胸がドキッとして、その光景が脳裏に浮かんだ。

鉄骨の途中でぶらさがっている陽菜の姿・・・。

でも、どれだけ探しても陽菜はいない。