「なにか、音楽が鳴ってない?」

「え…。ああ、本当だ」

その軽快なメロディがどんどん近くなった。

室内のはずなのに、急に生あたたかい風が頬をなでた。

同調して周りが明るくなってゆく。

それは、部屋の白い明かりではない。

そこは、白い部屋ではない。

ここは・・・。

「どういう・・・こと・・・」

藤森と宮崎はアスファルトの上に立っていた。

目の前に、ガラスでできたケースが置いてある。

「藤森さん、ここって!」

宮崎が怯えたような声をあげた。