藤森さんはわざとらしくため息をつきながら椅子にもたれる。

そして、ドアの方を見て、
「入ってきて!」
と、鋭い声を上げた。

すぐに扉が開く。


入って来たのは、まだ若い男性。


黒いスーツを着ているが、シワが寄っている。

私を見つめながら、藤森さんの隣に腰を降ろした。

「彼は、宮崎。ええと、下の名前は?」

「悠希。宮崎悠希です」
と、軽く頭を下げた。

細い体だが、肩幅がある。

なんだか、優しそうな人だ。