目の前の長い登り坂を見上げた。

ガタガタと揺れる車体が上へと運ぶ。

風が強く吹いていて、私の髪を流している。

どんどん遠くなる地上。

間もなく頂上。

まだ暗闇に支配されているこの町の景色。

それはやっぱり、どこか屋上からの景色に似ていた。

やがて先のレールが見えなくなる。

宙に浮かんでいるかのように、目の前には暗闇しか見えない。

チェーンが鳴らす音が消えた。

ここから先は下り坂・・・。

「ちゃんと死ねよ。さようなら」

駿が私を見てそう言った。

「恨むから」

精一杯のセリフも、声が震えている。