元気に行進するように手足を大きく振って近づくと、ナイフを振り下ろした。


カツッ


刃先が機体にぶつかる音。

「ひゃあ」

駿が私をまたいで逃げようとする。


ガガガガガガガガ


車体がチェーンとかみあわさって、長い坂道を登り始めた。

体がシートに押しつけられる。

振り向くと、夢くんが手を振っている。

片手を口に当てて、かわいらしいポーズで・・・。

はぁ、はぁ、と隣の席にようやく腰を降ろした駿が息をしていた。

「クソッ! 結局乗らされたじゃねぇか・・・」

ブツブツと言いながら、U字固定バーを降ろした。

しっかりと降りたことを確認すると、満足そうに息を吐く。

「どっちにしても、死ぬのは俺じゃないし」