「うわっ!」

駿が叫び声を上げた。

見ると、駿のすぐ後ろに夢くんが立っていた。

首をかしげて駿を見ている。

「おい、ちゃんとひとり乗ってるだろ…。話が違うじゃねぇかよ」

後ずさりしながら、駿が言う。

夢くんは、後ろに回していた手を前に出した。


その右手には、あのナイフが握られている。


ゆっくり駿に近づいてゆく。

「やめろよ!」

そう駿が言った瞬間に、ジェットコースターが動き出した。

夢くんが駿に迫る。

振りかざされたナイフをすんででかわすと、駿はそのまま私の横の席に滑り込んだ。

それでもなお、夢くんが追いかけてくる。