体を伸ばしてなんとか安全バーを降ろそうとする。

頭を引っかけようとするが、バランスを崩してすぐに座り込む。

手が使えない以上、1ミリも安全バーは動かなかった。

「乗り物ひとつにつき、ひとりが死ぬみたいだしさ」

駿が立ち上がると、出口に向かいながら言う。

私はそれを横目で追う。

「お前が死んだら、これで終わり。俺は無事に帰る、と」

ガラスケースに置かれた2枚のスタンプカードを私に見せた。

「ひどい。あんまりだよ!」

「何とでも言えば?」

バカにしたような口調。

体を起こして、駿のいるタラップに行こうとするが、
「ウザッ」
戻って来た駿に蹴られる。