私の頭の上には、黒いU字型の安全バーが上がったままの状態であった。

普通はそれを降ろして、体を座席に密着させる。


これがないと・・・。


「どっかで振り落とされるね」

駿がささやくように言う。

「そんな・・・」

「もしくは1回転の時かな?」

クスクスと笑う。

信じられない。

駿にまるで悪魔がとりついているのではないかと思える。

でも、違う。

駿は、いつも優しい仮面の下でいじめをしていた。

下沼さんに対してもそうだった。

なんで今になって思い出すの?

そんな人を好きになるなんて・・・。

それでも、好きだったなんて!