駿がぽつりと言う。

「下沼さんだ」

その額に浮かんだ汗が流れた。

「下沼さん・・・の? ウソ・・・」

またゾクゾクと背中が寒くなった。

頭が混乱して、会話にも記憶にもついていけない。

「下沼さんの葬式に行ったんだ。間違いない」

「じゃあ・・・下沼さんは、死んじゃってるって・・・こと?」

震える声で尋ねると、駿はガクガクとうなずく。


まさか・・・。


「でも、それで説明がつく。下沼さんの姿が見えたり見えなかったり。それに、さっきのあの鏡も・・・」

言葉を切って、駿が悔しそうな顔をした。

たしかに、あんなこと普通の人間にできるわけがない。