「ああ、そうか。それで、帰りにみんなでバスに乗ったんだ」

「・・・どうしよう、思い出せない」

あせればあせるほどに、記憶は砂に埋もれていくよう。

なんとなく線香の匂いを鼻が覚えているくらいしか、記憶がない。

「だからみんな制服だったんだ。そういうことか・・・」

駿は完全に思い出したようで、その場でウロウロしながら興奮している。

「で、でもさ。じゃあ・・・誰のお葬式だったの?」

私の問いかけに、駿は足を止めた。

駿の目が私を見て、そして見開く。

「マジかよ・・・」

信じられない、という表情で首を軽く振っている。

それを見て、私は悟った。

「まさか・・・」