その後ろから顔を出したのは雅哉の親友の駿(しゅん)。


駿を見た瞬間、胸が高鳴った。


夏、ということだけじゃなく一瞬で顔が火照る。

身長はそれほど高くはないけれど、テニス部できたえられた体は大きく見える。

暗い中でも、肌が真っ黒に日焼けしているのが分かる。

視線が合いそうで、とっさに顔を伏せた。

2年間も片想いをしているなんて、このメンバーには絶対に言えないけれど。

「どうだった?」

七海が雅哉に尋ねる。

「バス停はあったけど、廃線になってるらしい。俺たちもいつも自転車で来るしな」

息を整えながら雅哉は言った。