雅哉ののどから、ヒューヒューという空気の音が聞こえた。

床が信じられないくらい赤い水たまりを作っている。

「見てられない」

駿が顔を覆って、その場に崩れ落ちた。

押し殺した泣き声が聞こえた。

もう、雅哉の体は動きが鈍くなり、低くうめくような声しか聞こえない。

血の海の中、虫が這いずるように下沼さんから離れようとしている。

「あ・・・」

そう私が声を出したのは、残りすべての破片が上にのぼっていってたから。

それを信じられない思いで見ていた。


何十個もの破片が、光を反射している。

ビュンッ

いくつもの音が重なり、それらが一気に雅哉の体に刺さった。