信じらなかった。


割れた鏡がその形のまま、宙に浮かんでいたのだ。


まるでその瞬間を切り取った写真のように時間が止まっている。

宙に浮かぶいくつもの鏡の破片。

そのすべてに下沼さんが映っていた。

「おい。なんだよ、これ・・・」

左右に目をやった雅哉がつぶやくように言う。

「雅哉、逃げろ!」

そう叫ぶ駿の声も聞こえていないのか動かない。

いや、動けないのだ。


やがて、宙に浮かんだ鏡の破片、そのひとつがゆっくりと上にあがってゆく。


鈍い光を反射して光った。

その尖った先が、雅哉の方を向いた。