「…思う」

陽菜が降参のポーズをとった。


「つまり」

そう言うと、紗栄子がすこし間をとってから説明した。

「私たちはバスに乗ったあと、いつの間にか睡眠ガスかなにかで眠らされたのだと思われます」

「はは、なにそれ」

陽菜がそう言って笑うが、七海が笑っていないことに気づき口をつぐんだ。

「犯人はきっと運転手でしょうね。そうして、私たちの荷物を持って逃走した、ということではないでしょうか?」

「ええ、どうしよう。お財布の中におこずかい全部入ってるのに」

萌絵があたふたとそう言った。