夢くんに抱きつくようにしていた萌絵の体が、ゆっくりと地面に崩れ落ちた。

萌絵の表情は驚きにあふれていた。


「なん・・・で?」


夢くんの手に握られているのは、刃渡り20センチ以上あるだろうナイフだった。

その先から血がしたたり落ちては地面を汚していた。

それを握り替えると、まっすぐに萌絵のお腹に突き立てた。


「ぎゃあああああ!」


萌絵の絶叫。

粘着音とともに、ナイフが抜かれる。


血が噴水のように吹き出た。


「なんだよ、こいつ・・・。どうなってんだよ」

そう言う雅哉の体は震えていた。