「どうでもいいけどさ。なんでこんなとこにウチらがいるわけ?」

七海がイライラした口調で言う。

そんなこと私に言われても困る。

陽菜も困った顔をして肩をすくめた。

だいたい、何でバスに乗っていたのだろう?

そこからして思い出せないなんて。


「私が思いますに」

突然、紗栄子が口を開いた。

紗栄子はいつだって丁寧な口調。

普段口数が少ないから、紗栄子がしゃべるとみんな注目してしまう。

「これは強盗事件かもしれません」

「は? 紗栄子、なに言ってるの?」

小ばかにしたように七海が言う。