「え?」

目を見開いて駿が言う。


「きっと、私たちはあの子にコロサレルの」


「あの子、って誰だよ!」

メリーゴーランドでも姿を見ていないのは雅哉だけのようだった。

駿は、思い出そうとしているのか無言で考えこんでいる。

観覧車でもメリーゴーランドでも、その姿は見えなかった。


でも、あの後ろ姿。

長い髪。

のど元まで出ているのに思い出せない。

もやもやした気分。


みんなも声すら出さずに考え込んでいる。