暗い道を歩く。

これまでと違うのは、雅哉がいちばん後ろにいることだ。

逃げ出さないように見張っているらしい。

隣を歩く萌絵はずっと震えていた。

あごがガチガチと鳴っている。

「私も殺される…」

ぼそっと言う萌絵は、うつろな目をしていた。

「大丈夫だよ」

根拠のない言葉。

私もさっき、紗栄子を押している女の子を見た。

あれは幻や見間違いなんかじゃない。

たしかに、紗栄子の後ろにいた。

「殺される」

「大丈夫。メリーゴーランドは高い場所にはないでしょう?」