何度か叩いた後、雅哉が扉を開けた。

カギはかかっていなかった。


中は6畳ほどの小さな部屋で、机とマイクが置いてあった。

壁にはなにかの装置みたいなものが置かれている。

反対側の壁にはブラウン管のテレビがずらっと並んでいる。

そこには、園内の様子がリアルタイムで映っていた。

真っ暗な画面ばかり。

時折、園具の照明でなにかが映っているが、画像が粗くよく見えない。

「誰もいない」

拍子抜けの言葉が、雅哉からこぼれた。

みんなで中に入っていく。

駿が壁際の装置を見ながら、
「誰かがいた形跡はあるな」
と言った。