「やめよう。誰も見てないんだ」

「駿も?」

悲しい表情でうなずく。

萌絵は信じられない、という顔をしたまま私を見た。


本当は見えた…。


でも、誰が信じる?

私も首を振った。

「そんな…」

萌絵が膝をついて座り込んだ。

『賞金は5人での山分けとなります。続行をするようであれば、次の乗り物へお進みください』

アナウンスにはさっきよりもさらに感情がこもっていない。

無機質、というにふさわしい話し方だ。