「私…見たの」

萌絵が嗚咽を漏らしながら言う。

「見たの」

「…あ?」

雅哉が怒りが収まらない様子で言った。

「紗栄子を押している女の子。ねぇ、みんなも見たんでしょう!?」

立ち上がって見回す。

もう涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっている。

「ウチは見てない」

七海が答えると、雅哉も同じようにうなずいた。

「お前、こんなときに冗談言ってんじゃねぇぞ」

「違うっ。だって、見たの。私たちとよく似た制服を着てたの」

駿が萌絵の肩に手を置いた。

「駿…?」

萌絵が振り向く。