「もうやだ…。やだよぉ」

萌絵がまた泣き出す。

「うるせえんだよ!」

雅哉の怒鳴り声にビクッと体を震えさせる萌絵。

しかし、雅哉の怒りの矛先は萌絵ではなかった。

「この音楽止めろよ! スタッフ出て来いよ!」

ガラスケースに置かれたスタンプカードを取る雅哉は、その数をかぞえだす。

「っ…! 5枚しかねぇじゃねーか! どういうことだよ!」

そのままガラスケースを蹴る。


ガンッ


鈍い音がしてガラスケースは倒れるが、強化ガラスだけあって割れなかった。

「誰か出て来いよ!」