なに…いったい…。

もう、どんなに目をこらしても見えない。

「紗栄子!」

駿がひときわ大きな声を出した。


紗栄子の体がぐらんと機体の外に飛び出たのだ。

枠をつかんで耐えているが、またなにかに押されて片方の足が宙を踊る。


「やめてよ! やめてよぉ!」

萌絵が両目をふさいでしゃがみこんだ。

紗栄子はもう悲鳴を出すこともできず、必死で片足を機体につけようともがく。


また見えた。


女の子が紗栄子の背中を両手で押し出している。


遠くてその表情は見えない。