「なに…?」

見回すと、ここは…。

「バスの中…?」

「そう。私も起きたらここにいたの」

目の前では萌絵が眉をよせている。

メガネの奥にある目が不安そうにキョロキョロと動いている。


よくある市バスの後ろの方の席に私は座っていた。

乗客の姿は他にない。

「なんでバスの中に?」

バスの中で寝ていたらしい。