「連絡先を教えてほしい」
真剣に俺は言うけど
智和おじさんは鼻で笑う。

「あっちから連絡来たのか?」

「いや」
一切連絡はない。

「向こうが会いたくないんだろ。お前の事なんか忘れてるって」

そうかもしれない

それなら
それで仕方ない

でも自分の中ではっきりさせたかった。

「俺、凪子を探しに行こうと思う」

「仕事どーすんだ?」

「辞める」

「バカか?」

「バカだよ」

「見つからなかったらどーすんだ?海外行ってるかもしれないし、好きな男ができて結婚してるかも」

「それならそれでいい。戻って来てプルミル工場でパートで働く」

あそこは常にパート募集してるから
一生懸命働いて
正社員になるように努力する。

「今の仕事、お前好きなんだろ」

「好きだけど。もっと大切な物がある」

「彼女を見つけても、迷惑って言われるかもしれないよ」

「逆に言われた方がスッキリする」

中途半端が一番困る。

凪子が俺を忘れていてもいい
幸せに過ごしていたら
それでいい。

どうしても
確認したかった。