年末の忘年会シーズンということもあってか、どの店も混んでいた。





というわけで、結局あたしたちが入った店は、蓮見が一度だけ来たことがあるという立ち飲み屋だった。






「たまにはいーね、立ち飲みってのも」






活気のある雰囲気に、思わず上機嫌になって言うと、蓮見がふっと笑った。






あたしが怪訝な顔をすると、蓮見は薄い笑みを浮かべたまま、店主のおじさんに向かって片手を挙げた。







「おっさん、生ふたつね。

あと焼き鳥、適当に見繕って」





「あいよー」






相変わらず、注文のしかたまで偉そうだ。





それがなんだかおかしくて、あたしもこっそり、ふっと噴き出した。