「行くぞ」





「え、うん……」






あたしはコーヒーを握りしめながら、歩き出した蓮見について歩く。






「行くって、どこに?」





「久々に飲みてえ気分だな。お前は?」





「いーねぇ、お酒!」





「酒豪め」





「人聞きの悪い! 寒いからお酒であったまりたいだけだっつーの!」






あたしが蓮見の肩を殴ると、蓮見は「いてっ」と言いつつ、なぜか笑った。






「………なに笑ってんのよ」





「べつに? 笑って悪いか」





「悪くはないけど」






………不気味だ。





あたしは内心首を傾げつつ、飲み屋街のほうへと歩いていく蓮見の後を追った。