会社の入っているビルを出て、駅に向かう道の途中で蓮見を待つ。





きらきらと夜闇を彩るイルミネーションを見上げながら。






しばらくすると、背後から「待たせたな」という声が聞こえてきた。





振り向くと、蓮見がいつもの仏頂面で立っている。






「なんでこんなとこにいんだよ?

会社にいれば良かったのに」






「いやー、仕事おわったのにだらだらしてるのも変じゃん」







あたしが答えると、蓮見が呆れたように肩をすくめた。







「バカ、外じゃ寒いだろうが。


ちっとは考えろよな」







ひどい言い草に、あたしはむかっとしたけど。







「これ、飲めよ」







蓮見から温かい缶コーヒーを渡され、文句を言うタイミングを逃してしまった。






………あったかい。




あたしは、冷えきった指先で缶コーヒーを包み込んだ。