凍えた指を口許に当て、はあっと息を吹きかける。





冷たい風が吹き抜ける街。




その中を足早に通り過ぎていく、帰路を急ぐ人たち。






蓮見はきっと今頃、何事もなかったかよように、ディスプレイに向かっていることだろう。







駅の改札を通り抜け、ホームのベンチに座って、ぼんやりと電車を待つ。





向かいのホームに、色鮮やかなポスターが何枚も貼ってあった。





デパートのクリスマスセール。




遊園地のクリスマスパレード。




交響楽団のクリスマスコンサート。





隣では、クリスマスに遠出をしてホテルに泊まる算段をしているカップル。







ーーーどいつもこいつも浮かれやがって。





あたしは一人心の中で悪態をついた。





どーせ、あたしには無関係だ。