「………ざまあみろ」





「あぁん?」






低くつぶやいた声が、蓮見には聞こえたらしい。





相変わらず地獄耳だ。





あたしはもう一度、「ざまあみろ」と言った。





蓮見がきつく眉根を寄せ、「なんだと?」と唸る。




そして、ハイヒールを持って玄関まで出てきた。







「どーゆーことだよ。


お前、俺に何か恨みでもあんのか?」






「………自分の胸に聞いてみろ!!」







あたしは捨て台詞を残して、蓮見からハイヒールを奪い取り、玄関を飛び出すと同時にドアを力任せに閉める。





蓮見のどこか唖然としたような顔が、冷たい鉄のドアの向こうに消えた。