知らなかったけど、あたしはどうやらコントロールがいいらしい。





あたしの投げた靴は、見事な放物線を描き、蓮見の背中めがけてまっしぐらに飛んでいく。






蓮見は持ち前の素晴らしい集中力を発揮している際中で、後ろから迫る危機には気づいていない。





くるくると回転のかかった靴が蓮見の背中に向かって飛んでいくさまが、スローモーションのように見える。






そして、よりにもよって、ちょうど尖ったヒールの部分が、蓮見の肩口に突き刺さった。







「ーーーいっ、てぇ!!」







蓮見が叫び声を上げ、驚いた顔でこっちを振り向いた。







「………なんだこれ、靴!?


清水、お前が投げたのか!?」







あたしは無表情に蓮見を見つめ返す。