「悪かったな、汚くて」






蓮見はちょっといじけたような口調で言った。






「たまには片付けなさいよね。

あんまり埃っぽいと、身体に悪いって」






「俺は仕事に全力を注いでるから、ちんたら片付けなんてする暇ねえんだよ。

お前、ついでに掃除もしていくか?」






「ばーか。掃除くらい自分でやれ!」







あたしは蓮見の脇腹を軽く小突いて、床に散らばる物ものに埋れていたバッグを持った。







「………じゃ、そろそろ帰るね」







そうは言いつつも、あたしは、もしかして蓮見が引き止めるんじゃないか、なんて淡い期待をしていた。