とはいうものの、あたしは結局、蓮見の横暴に逆らえない。





ムカつきを抑えつつ、あたしは買い物カゴにすき焼きの具材を放り込んでいった。




もちろん、すき焼きの素は買わず、醤油やみりん、砂糖、料理酒を購入。




蓮見の家には調味料らしい調味料が全くないのを知っていたから。






「………しかたないから、あんたのワガママ聞いて、一から作ってあげる。


その代わり、平身低頭であたしに感謝しなさいよね!」






レジに並んで順番を待ちつつ、負け惜しみのように言うと、蓮見は「へいへい」と頷いた。





清算を終えて、レジ袋を受け取ろうとすると。






「しゃーねえ、持ってやる」






蓮見が横から手を出して、すっと袋を取った。






………気がきくじゃないの。




しょうがない、許してやるか。