蓮見のマンションの最寄り駅で電車を降り、駅ビルの地下のスーパーで買い物をする。





「………えーと、蓮見さん」





「あ?」





「どのようなお料理を、ご所望なんでしょうか?」





「そうだな……寒いから鍋がいいな」





「かしこまりました」






あたしは頷いて、野菜のコーナーに特設してあるキムチ鍋の素を手に取ろうとした。




すると、横からにゅっと手が出てきて。






「………おい、清水、てめえ」





「えっ、なによ?」





「まさか、そんな手抜き料理、しようとしてんじゃねえだろうな?」






不機嫌丸出しの蓮見の顔が、あたしを見下ろしてくる。