蓮見が足を踏み入れたのは、中規模な書店だった。




あたしも何度か訪れたことがあるけど、文房具コーナーはけっこう大きく、充実している。





高校生なんかがよく来店する店なので、文具や雑貨に力を入れているのだろう。





あたしたちが働く部署は、筆記具の企画をしているので、蓮見はすたすたと筆記具のコーナーに直行した。




休日の午後だというのに、たまたまなのか、人影はない。






ずらりと並ぶペンたちを見た瞬間、蓮見の顔色が変わった。





………嫌な予感。





そして、蓮見に関するあたしの予感は、だいたい的中する。







「ーーーおい、お前」







蓮見は唐突に、近くにいたアルバイト店員らしき女の子に声をかけた。