あたしは驚いて、そしてけっこう、いやかなり、嬉しくなった。





あの蓮見が、女の子の髪型の変化に即座に気づいて、声をかけてくるなんて!




やっぱり、いくら他人に興味がない自己中男でも、彼女のヘアスタイルくらいは気にしてくれてるんだ………。






…………なんてテンションの上がった自分を、その直後、あたしは殴り倒したくなった。





だって、蓮見の次の言葉は。







「………なんだぁ? その変な髪型。


なんか市松人形みたいだな。


イマイチだぞ。


もう一回髪屋行ったら?」







蓮見はさらりとそう言って、すたすたとエレベーターを降りていったのだった。