でも、そんなことを一瞬でも期待したあたしが、馬鹿でした。







「クリスマス商戦の市場調査に行くから、お前、付き合えよ」







蓮見は平然とそう言い、唐揚げ定食を食べ終えて箸を置いた。







ーーーですよねー。




蓮見は仕事の鬼ですもんね。





てゆーか、仕事を中心にして蓮見の世界は回ってるんですもんね。







………いーよ、もう。





市場調査でも遺跡調査でも、付き合ってやろうじゃないの。






あたしだって、仕事はきらいじゃないし。






でも、一瞬でも期待してしまっただけに。




あたしはなんとなく脱力した気分のまま、トレイを持って食器返却口に向かう蓮見の背中を追った。