「ふふっ、叱られちゃいましたねぇ、先輩たち」







にっこりと頬杖をつきながら声をかけてきたのは、あたしの向かいに座っている後輩の女の子、酒井さん。







「蓮見さんに怒られるなんて、羨ましいなぁ」







小声でそんな大それたことを囁くのは、怖いもの知らずな蓮見信奉者の一人だからだ。







「おい、酒井!」







蓮見は顔をしかめて、酒井さんの隣に立った。




酒井さんが「なんですか?」と首を傾げる。







「酒井、てめえのコピーしたこの資料」





「え、なんか問題ありました?」





「大ありだよっ!!」







蓮見は何冊分も束になった資料を、酒井さんの机に叩きつけた。