「ちょ、っと、待ってよ蓮見!」





「なんだよ?」






あたしの手を引きながら、すたすたと金曜の夜の街を歩いていく蓮見の後ろ姿。





その足は、言葉通り、会社への道を戻って行く。






仕事に戻るっていうのは、忘年会を抜け出す口実なのかな、なんて一瞬だけ思ったんだけど。







「ほんっとーに今から会社!?」





「あぁん? だから、何度も言ってんだろーが」






「しっ、信じらんない……っ!!」







あたしは蓮見の手を振り払い、立ち止まった。