「………ぷっ。間抜けヅラ!」







蓮見はそう言って、あたしの頬をぶにっとつまんだ。







「干物女のお前が、少しでも女らしくなるように、アクセサリーにしてやった。


感謝しろよな?」







蓮見はいつもの憎まれ口を叩いたけど。






その表情は、憎たらしさのかけらもない、ひどく穏やかなものだった。





おかげで、あたしも素直になれる。







「…………ありがと。


めっちゃ嬉しい………大事にする」







そこで、あたしは、はたと気づいた。







「………あたし、何も用意してない……」







クリスマスに、恋人にプレゼントをあげる風習があることを、すっかり忘れていた。




それどころじゃない気分だったし。





非常識の塊みたいな蓮見がちゃっかり(いや、しっかり)プレゼントを用意していて、常識人のはずのあたしが忘れていたなんて。