蓮見はぶつぶつ言いながら、店員さんが持ってきた生中のジョッキを持ち上げ、あたしに向かって、






「おら、乾杯すんぞ」






と告げた。





あたしは鼻を隠したまま溜め息を吐き出し、仕方なく自分のジョッキを持って、蓮見のジョッキにかちんと軽く当てた。







それに気づいて、周りのみんなも蓮見と乾杯をする。







「かんぱーい」





「蓮見くん、今年も一年、お疲れ様」






「おう、本当だよ。去年と同じく、仕事のできねえ奴に足ひっぱられまくって、大変だったよ」






「うわぁ………」






「相変わらず、蓮見節全開!」







そんな会話を背中で聞きながら、あたしはそそくさと化粧室に逃げ込んだ。