*
蓮見は「よお」というように軽く手を挙げて、あたしの前の席に座った。
そして、開口一番、なんでもないことのように、こう言った。
「ーーーおい、清水。鼻毛、出てるぞ」
…………はぁっ!?
あたしは自分の耳を疑った。
目を見開いて、目の前の蓮見を凝視する。
蓮見は言うだけ言うと、ふいっとあたしから視線を外し、「俺、生中」と店員さんに声をかけた。
「………あのねぇ、蓮見………」
「ん?」
あたしは赤面して鼻を手で隠しつつ、じとりと蓮見を睨みつける。
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