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南くんは、変人だった。
出会った瞬間のあたしの予想を裏切らず。
教授たちは、「ああいう宇宙人タイプの理解不能な学生って、数十年に一人くらい現れるよね」と話に花を咲かせている。
つまり、何千という学生を見てきた教授陣からしても稀有な人物。
どういうところが変かって?
まず私が驚いたのは、南くんの格好。
初対面の日、南くんを連れてキャンパスの案内をしていた時。
ふと南くんの足元を見て、あたしはぎょっとした。
右足は赤い水玉の靴下、左足は青と緑のしましまの靴下を履いていたのだ。
きっと初登校で慌てていて履き間違ったんだろうと、あたしは年長者らしい親切心を発揮した。
「南くん、ちょっと……」
遠慮がちに声をかけると、ぼんやりとよそ見をしていた南くんは、「え?」と眠そうな目をあたしに向けた。