あたし史上最高に顔が熱い。





あぁ、恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。





こんなの、もう無理…………






「………じゃ、あたし帰ります!!」






南くんの隙をついて、あたしは走り出した。





南くんの「あっ、橘さん!」という慌てた声が聞こえる。





いつもぼんやりマイペースな南くんが、あたしのことで慌てているというのは、なんだか照れくさい。





南くんが走って追いかけてくる。




めんどくさがりの南くんが、あたしのために走っている。




それもまた照れくさい。






「橘さん、待って!!」





「待てません!!」





「返事きかせてくださーい!」





「いやー!!」





「じゃ、OKってことでいいですか!」





「………ご想像におまかせします!」






火照った顔に吹きつける風が心地いい。





大のオトナが二人して全力疾走しているのをおかしく思いながら、あたしは駅まで一目散に駆けた。






*Fin.