今まで見たことがないくらい真剣な表情で、南くんがあたしを見つめている。






「俺、橘さんといると、なんか、すごく………精神的な安定性を失って」





「うん………はい?」





「脈拍が異様に早くなって」





「………え? 体調不良になるってこと?」





「ちがいますよ。

あの、ほら、なんていうのかな………。

いわゆる、そわそわするとか、どきどきするとか、そういう感じです」





「………っ、はいぃ!?」






なに言い出した、南くん!!




ちょっと意味が………いや、分かるけど、にわかには信じがたいんですが!?






「とにかく、橘さんと話したり、橘さんに近づいたり、橘さんの笑顔みたりすると、落ち着かなくなって。


そんな自分がめんどくさい、って言いたかったんです」





「……………」






ぽかーん。




うそ、うそでしょ?




南くん、そんな素振り、ちっとも………






いや、でも。




南くんは、うそはつかない人だ。





ってことは、ほんとに?





南くんはあたしといると、そわそわどきどきしちゃうの?